
4月23日、2025 年上海国際自動車ショーにおいて、中国の半導体ストレージブランド企業であるLongsys(江波龍)は「自在存儲・駕控随芯(自由にストレージ、心にしたがって運転をコントロール)」をテーマに、全ての車載向けストレージ製品と PTM(全プロセスカスタマイズ)サービスを展示した。新たに開発した車載規格eMMCフルカスタム版と車載規格LPDDR4xを初披露し、スマートカー向けストレージソリューションにおける総合的なイノベーション能力をアピールした。

1999年設立のLongsys20年以上の発展を経て、半導体ストレージ製品の研究開発・設計・パッケージングテスト・生産製造・販売までを一貫して手掛ける総合メーカーへと成長した。製品ラインは、組み込み型ストレージ、SSD、モバイルストレージ、メモリーモジュールなどを網羅する。自社ブランド「FORESEE」に加え、買収した「Lexar(レクサー)」も傘下に抱える。フラッシュメモリ市場のデータによると、Longsysは 2023 年に埋め込み型ストレージ(eMMC/UFS、LPDDR)市場で世界シェア第4位を獲得した。最新の財務報告によると、2024 年の売上高は 174.64 億元で、前年比 72.48% の大幅な伸びを示した。
Longsysの競争力強化と急成長の背景には、継続的な技術開発投資と製造基盤の拡大がある。同社によると、2024 年末時点で 570 件の特許を取得しており(うち発明特許 221 件、ソフトウェア著作権 138 件)、ストレージ標準必須特許の 34% を占め、eMMC、UFS、SD/SSD などの分野をカバーした。また、SLC NAND FLASH、ストレージコントローラーチップ、ファームウェアの全てを自主開発し、海外進出における特許障壁を解消した。製造面では、ウェハー製造能力は持たないものの、元成蘇州パッケージ工場とブラジルの Zilia を買収して独自のパッケジング技術を確立し、中山ストレージ産業園でテストラインを設置し、ほぼ全工程の自主開発・製造を実現した。
こうした強力な開発・製造能力が、車載向けストレージ市場に参入するための堅実な基盤となった。車載向けストレージ市場は、性能、安定性、信頼性、カスタマイズ性に極めて高い要求がある分野だ。
Longsysは 2019 年に車載向けストレージ事業に参入し、2020 年に中国国内初の車載向け eMMC を発表した。その後、製品ラインを拡大し続け、6 年間で目覚しい成果を上げた。

Longsysの自動車市場部長である王作鵬(ワン・ズオペン)氏によると、市場先制の優位性と自主技術開発、サービス能力を活かし、2024 年には市場シェアを大幅に伸ばした。現在、20 社以上の自動車メーカーと 50 社以上の Tier1 企業との間で深い協力関係を築き、20 社以上のチッププラットフォームの互換性テストを合格した。

「Longsysは当初、3 年間かけて初めて1社のOEMの会議室に足を踏み入れることができた。車載向けストレージ市場に参入するのは非常に困難でしたが、幸いにも成功し、段階的な成果を上げることができた」と王作鵬氏は振り返った。
車載向け eMMC フルカスタマ版
Longsysは会場で、WM6000 マスターコントローラーを搭載した「フルカスタマ版」車載向け eMMC を初公開した。この製品は自主知的財産権のコントローラーアーキテクチャを基に開発され、ESAT 専用ラインで製造され、元成蘇州でパッケージングを行われ、中山でテストされた。車載向け eMMC フルカスタマイズ版は高速モードに対応し、pSLC/MLC/TLC の各種フラッシュメモリをサポートし、容量は 32GB~128GB で、AEC-Q100 Grade2/3 の信頼性基準を満たす。動作温度範囲は - 40℃~105℃と - 40℃~85℃で、中・軽量のスマートカー用途に最適化されている。

王作鵬氏は、「フルスタック開発のマスターコントローラーにより、性能が約 10% 向上した。核心 IP を自主開発したことで、問題分析・特定が迅速に行え、ファームウェアもソフトウェア・ハードウェアのカスタマイズに対応している」と説明した。

同社は当初の Grade3 製品から Grade2 に昇格させ、車載向け eMMC を DVR、EDR、ドライブレコーダー、T-BOX などの車載機器に採用し、自動車のインテリジェント化に貢献している。
車載向け LPDDR4x
Longsysはまた、新たな車載向け LPDDR4x を発表した。この製品も ESAT 専用ラインで製造され、元成蘇州でパッケジングかつ独自の ATE テストを行った。容量は 2GB~8GB で、Grade2 車載規格に対応し、速度は 4266Mbps となる。デュアルチャネル Bank Group アーキテクチャを採用し、帯域利用率が 30% 向上し、スマートキャビンの AI 音声アシスタントの応答遅延を短縮し、「即座に反応する」インタラクティブ体験を実現する。また、多画面表示の高速キャッシュサポートも可能だ。

低消費電力技術により VDDQ 電圧を 0.6V に低減し、PASR(Partial Array Self-Refresh)休眠機能を搭載することで、高速化と低消費電力を両立した。

王作鵬氏は、「当社の車載向け LPDDR4x は業界トップレベルの車載向けウェハー顆粒検証技術を採用している。独自の高精度広温域 ATE テスト技術でテスト精度とカバレッジを確保し、チップの老化選別技術で信頼性をさらに高めている」と強調した。
現在の車載向け LPDDR4x は最も先端的な技術ではないが、Longsysにとっては新たな挑戦だ。王作鵬氏は、「今後、より高性能な車載向け LPDDR5x を発表する予定です」と明かした。
その他の車載製品
新たに発表した 2 製品に加え、Longsysは車載向け UFS と車載向け SPI NAND Flash も展開している。
車載向け UFS は、独自の WM7000 シリーズマスターコントローラーを搭載し、元成蘇州で封止、ESAT 専用ラインで製造された。UFS 2.1/3.1 規格に対応し、容量は 64GB~256GB で、eMMC に比べて 6 倍以上の高速読み書き性能を誇り、ADAS コントローラーやキャビン HMI システムのストレージ速度を大幅に向上させる。LDPC アルゴリズム、Write Booster 加速、HPB(Host Protected Area)などの機能を備え、現在複数の Tier1 企業のスマートキャビンプロジェクトに採用されている。
王作鵬氏は、「今年は WM7000 シリーズ UFS マスターコントローラーを発表し、UFS 4.1/3.1/2.2/2.1 の全てのプロトコルに対応した。今後、車載向け UFS は徐々に独自マスターコントローラーを搭載し、中国国内市場のニーズに応えるとともに、次世代スマートカーのための『ハードウェアプリインストール、ソフトウェア定義』のストレージアップグレードをサポートする」と述べた。

車載向け SPI NAND Flash は、独自の NAND Flash を採用し、小さな WSON8 パッケージ(8×6mm)で 1Gb~4Gb の容量を実現した。10 万回の書き込み寿命と 10 年間のデータ保存性能を備え、車載ゲートウェイや通信モジュールなど、小型化が求められる機器向けに設計された。信頼性面では、独自の ECC エラー訂正エンジンを搭載し、読み取り時のビット反転エラーを訂正できる。1.8V 低消費電力設計と高速 Quad SPI インターフェース(x4 ビット幅)の最適化により、車載ネットワーク端末の頻繁な OTA アップデートやログ書き込みに対応し、低消費電力と高速データ処理を実現している。
特筆すべきなのは、Longsysの独自開発 SLC NAND Flash は 2024 年に累計出荷量が 1 億個を突破し、車載向け SPI NAND Flash もその核心製品として、車載用途の応用範囲を拡大している。
自動運転、スマートキャビン、車載 AI モデルなどの技術が進展するにつれ、車載ストレージの需要は爆発的に増加する見通しだ。Longsysはこの市場で競合を制するため、合理的な利益確保とコストコントロールを重視している。王作鵬氏は、「企業が市場で生き残るためには、合理的な利益を維持することが不可欠だ。そのため、製品の品質を維持しつつコストを管理することが重要だ。Longsysは産業チェーンの垂直統合を推進し、重要な工程をすべて自社で管理することで、品質とコストのバランスを取り、カスタマイズニーズに柔軟に対応できる」と強調した。
ただし、Longsysは外部ベンダーのストレージコントローラーやパッケジング・テストサービスも活用しており、サプライチェーンの柔軟性を高めている。

