
中国LiDAR大手・RoboSense、世界最強のSPAD-SoCを発表 400万画素相当でLiDARの高精細時代へ
中国のLiDAR大手・RoboSense(速騰聚創)は4月21日、深センで開催した技術発表イベント「2026 Tech Day」において、同社のチップ戦略ロードマップと最新の技術成果を初めて体系立てて公開した。会場では、新たに開発したデジタルアーキテクチャ「創世(Eocene)」を採用したフラッグシップSPAD-SoCの2製品、「鳳凰(Phoenix)」シリーズと「孔雀(Peacock)」シリーズが同時に披露された。
Phoenixシリーズは単一チップで極めて高い走査線数を実現する製品、Peacockシリーズは全固体・高解像度・大面積エリアアレイを特徴とする製品だ。いずれも業界内で一世代以上先を行く性能を備えており、2026年中の量産開始を予定している。

Phoenixチップは、単一チップでありながら2160本の走査線をネイティブ処理できる車載グレードのSPAD-SoCとしては世界初の製品だ。生成される点群の精細さは、400万画素のカメラ画像を超えるレベルだ。
Peacockチップは、量産可能な全固体エリアアレイSPAD-SoCとして業界最高水準の仕様を持つ。640×480の高密度SPADアレイを集積し、VGA相当の三次元センシングを実現した。

同社のCEOである邱純潮(チュウ・ジュンチャオ)氏はTech Dayの場で、「デジタル化が土台を築き、画像化が方向性を定め、そしてチップが未来を定義する。三次元センシングの未来は、画像のように緻密で、強力なチップ性能に支えられ、システム全体で価値を生み出す新時代へと向かう。当社の目標は、単なる時代の参加者ではなく、三次元センシングの新たな地平を切り拓く旗手となることだ。」と述べた。
「創世」アーキテクチャ:チップ技術の集大成
今回発表されたデジタルアーキテクチャ「創世(Eocene)」は、SPAD-SoCチップのプラットフォームとして、高速な進化と継続的な改良を可能にする基盤だ。

これはRobosense社が長年にわたり積み上げてきたチップ技術の結実といえる。車載用途だけでなく、ロボティクス、産業機器、民生電子機器まで幅広い分野をカバーし、そこから派生する多様なチップ群を継続的に生み出すための設計思想が込められている。
アーキテクチャは四つの階層で構成される。基盤となるプロセス層では28nmの車載グレードプロセスを採用し、コア面積を40%縮小、消費電力を30%低減した。第三世代となる超高感度SPAD受光層は、光子検出効率を世界最高水準の45%まで引き上げている。第二世代の3Dスタック技術により、ノイズ特性もさらに改善された。
コア計算層には4320コアのヘテロジニアス・コンピューティング・アレイを配置。毎秒4950億点に及ぶ点群データのサンプリング処理を可能とし、将来的な1000万画素級のセンシングにも対応し得るコンピューティングパワーを、高帯域のオンチップ・データハイウェイによって確保している。
アルゴリズム加速層では、耐妨害エンジンをハードウェア実装。太陽光ノイズや他機からの混信に対する耐性を99.9%まで高めた。
安全・信頼層にはASIL Bに準拠した機能安全アーキテクチャを内蔵し、-40°Cから125°Cまでの過酷な温度環境下でも安定した動作を保証する。
「創世」アーキテクチャの確立により、Robosense社は「高精細=高コスト」という従来の常識を覆し、量産規模での商業化に目処をつけた。技術面での優位性は、一朝一夕には追いつけないチップレベルでの世代格差として定着しつつある。
PhoenixとPeacock:ラインスキャンとエリアスキャンの両輪で技術差別化
Phoenixチップは、単一チップ・単一光路というシンプルな設計の中に、2160もの受信チャンネルを集積した。出力される点群の解像度は2160×1900に達し、その緻密さは400万画素カメラを上回る。

△Phoenixチップ

性能面では、2160本の走査線を活かし、最大探知距離は600メートル。150メートル先にある13×17センチの小さな箱も明確に捉えることができ、小物体の検出能力は業界の主流製品を大きく引き離す。

Phoenixシリーズは5つの型番を展開し、2160本から240本まで、異なる走査線数のLiDAR製品設計に対応する。現在、Phoenixチップを搭載した400万画素相当のLiDARソリューションはすでに主要自動車メーカーから受注を獲得しており、2026年中に量産車への搭載が始まる見通しだ。

Peacockチップは640×480の高密度SPADエリアアレイを集積し、VGA相当の解像度を達成した。高密度でムラのない三次元深度画像を生成できる。

△Peacockチップ
最大視野角は180°×135°と極めて広角で、至近距離の探知能力も5センチ未満と、死角を生まない。フレームレートは10~30Hzで、カメラのフレームレートと初めて同期させた点も特徴だ。

チップ内部には高精度TDCと測距処理エンジンを内蔵。ミリメートル単位の測距精度は前世代比で6倍に向上した。
Peacockチップは、その豊かな三次元視覚情報を活かし、主に三つの領域への展開を狙う。一つは車載用の全固体ブラインドスポット補完センサー、二つ目はロボット向け標準化ビジョンモジュール、そして三つ目は従来にない新しい融合センサーの形態である。
邱氏は発表の場で、Peacockチップについて「発表と同時に量産体制に入る」と明言。2026年第3四半期からの本格出荷を予定しており、すでに同チップを採用した製品の一部は顧客への出荷が始まっているという。
カラー三次元視覚へ:2027年の実用化を予告
Robosense社は、複数のセンサーを融合させる領域での研究開発も着実に進めている。2025年に発表したアクティブカメラシリーズ「AC1」「AC2」は、すでに業界へ多様なセンサーフュージョンの選択肢を提供してきた。
講演の終盤、邱氏はPhoenixチップが直接受光し、リアルタイムで走査した2Kの近赤外線画像を披露した。この画像の輝度情報と三次元距離情報は同一光源・同一タイミングで出力されたもので、解像度は2160×1900に達する。

邱氏は、「これはおそらく人類史上初めて、SPADチップによって撮影された2K画像の公開デモンストレーションとなるだろう。」と壇上で述べた。
現在、Robosense社の「Active Camera」プラットフォームは、高解像度CMOSセンサーと自社開発SPADを組み合わせる技術路線を採用している。
締めくくりの予告として、同社は2027年末に本格的なRGBDセンサーを正式にリリースすると発表した。その際、SPADはCMOSの成功を再現し、全く新しいスーパーセンサーの形態と市場応用を生み出すことが期待される。


「世代格差」の優位性が収穫期へ
Phoenixチップが主要自動車メーカーからの受注を勝ち取り、Peacockチップが小ロットながらすでに出荷を開始している事実は、Robosense社のチップ戦略が量産・納入という具体的な成長軌道に乗ったことを示している。この2つの製品は、超高走査線数ラインスキャンと全固体エリアアレイという二大技術潮流を網羅し、車載とロボティクスの両分野において、競合他社に対する圧倒的な技術的優位性を一段と強固なものにしている。
Robosense社は、「過去数十年で、CMOSはカメラをあらゆる場所に行き渡らせた。これからの数十年、我々は三次元センシングをカメラと同じように遍在する技術へと押し上げる。あらゆる車両、あらゆるロボット、あらゆるフィジカルAI端末へと、その視覚を届けていく。」と語った。
(原文:https://www.icsmart.cn/104155/)

