
中国チップメーカー「南京芯視元(Smartvision)」、世界最小の0.13インチLCoSチップを発表

2026年6月3日、第16回松山湖中国ICイノベーションハイレベルフォーラムにおいて、南京芯視元電子有限公司(Nanjing Smartvision Electronics Co., Ltd)の総経理兼CEOである何軍(カー・グン)氏は、「天目80:0.13インチLCoSシリコンベースのマイクロディスプレイチップ」と題した講演を行い、同社の最新世代である超小型シリコンベース・マイクロディスプレイチップ製品を正式に発表した。
「AI+AR=AIR。われわれは、AIグラスこそがブレイン・マシン・インターフェース実現以前において必然的かつ唯一の端末形態だという技術的信念を持っている」と何軍氏は講演の冒頭で芯視元の戦略的ビジョンを定義した。同社は2012年に設立され、シリコンベース・マイクロディスプレイチップの研究開発に特化してきたハイテク企業で、世界のマイクロディスプレイ市場に挑戦を仕掛けている。
シリコンベース・マイクロディスプレイ:XRの「インフラ」
何氏は講演の冒頭、まずシリコンベース・マイクロディスプレイ技術の本質的価値を体系的に説明した。シリコンベース・マイクロディスプレイチップは、シリコン半導体を駆動用バックプレーンとする新型ディスプレイデバイスであり、CMOS回路を背面駆動基板として採用し、単結晶シリコン基板上で画素ピッチ10マイクロメートル未満、画素密度5000 PPI超を実現できるという。

マイクロディスプレイパネルの技術動向を見ると、現在はシリコンベースMicro LED、シリコンベースOLED、LCoS、DMDという4つの主要技術が並行して発展する構図が形成されつつある。

何軍氏はYoleのデータを引用し、2020年から2030年にかけてのARマイクロディスプレイ市場の年平均成長率(CAGR)は72.11%に達し、なかでもMicro LEDフルカラーが最大の成長率に寄与し、LCoS方式は着実に伸び、Micro OLED方式は安定して推移すると指摘した。

応用シーンを見ると、各技術路線にはそれぞれ重点が置かれている。シリコンベースMicro LEDは主にARグラスやスマートヘッドライト、シリコンベースOLEDはガンサイトやVR/MRグラス、LCoSはARグラスやマイクロプロジェクター、DMDはプロジェクションヘッドライトやAR-HUDに用いられている。
「LCoSは、現在最も総合的なバランスに優れた光エンジンの技術選択肢です」と何軍氏は特に強調した。その裏付けとして、同氏はMetaの最新製品における技術選択を挙げた。Metaが2025年9月に発表したRay-Ban Display AIグラスは、まさにLCoSとアレイ光導波路の組み合わせを採用している。
2023年9月、Metaはディスプレイ機能を持たないRay-Ban Storiesを発表した。2024年9月には、Micro LEDと炭化ケイ素を用いた回折光導波路方式を採用したOrionを発表した。2025年9月には、LCoSとアレイ光導波路方式を採用したRay-Ban Displayを発表した。
「Metaは、堅実で現実的な技術の組み合わせを通じ、ユーザー体験と装着快適性を優先した」と何軍氏は分析し、LCoSこそがこの現実路線における中核的な選択だと表示した。
従来のLCoS光エンジンが抱える、大型化、複雑な色管理、低い光学効率といった課題に対し、何軍氏は業界最先端のソリューションとして、大規模可視光フォトニック集積回路とメタサーフェス集積技術を紹介した。
「天目80」:0.13インチ世界最小のLCoSチップ
芯視元電子が今回のフォーラムで発表した中核製品は、天目80(Tianmu-80)、0.13インチLCoSシリコンベース・マイクロディスプレイチップだ。

製品仕様としては、天目80の表示サイズは0.13インチ、解像度は640×480、画素サイズは4.0マイクロメートル×4.0マイクロメートル。反射型LCoS単板フルカラー表示技術を採用し、MIPIやLVDSなどの高速シリアルインターフェースに対応しているため、メイン制御チップとの接続が容易だ。

関係情報によると、芯視元は2025年にこの世界最小のカラーLCoSチップを開発することに成功し、2026年5月にはSID Display Week 2026で初めて公開展示した。
何氏はさらに、次世代のLCoSシリコンベース・マイクロディスプレイチップのサイズを0.2Xインチ、2.5μmまでさらに縮小し、1.5K×1.5Kの解像度に対応する計画であることも明らかにした。
ARメガネ向けのLCoS技術路線に加え、芯視元はMicro LED技術路線においても強固な展開を進めている。現在、すでに20社以上の顧客にMicro LEDバックプレーンを提供しており、今後の目標は単板フルカラーの実現だ。

芯視元について
南京芯視元電子有限公司は2012年に設立され(前身は蘇州芯盟慧顯、2017年に江蘇省南京市江北新区に移転)、スマートディスプレイチップの研究開発に特化するハイテク企業で、2025年には江蘇省「専精特新(専門性・精密性・特色化・新規性)」中小企業に認定された。
同社はシリコンベース・マイクロディスプレイ技術を中核とし、製品はLCoSマイクロディスプレイチップ(0.13インチから0.70インチまでのフルスペック)、シリコンベースMicro LEDおよびMicro OLEDマイクロディスプレイ駆動用バックプレーン、空間光変調器(LCOS-SLM)に及んでいる。応用分野はAR、VR、MRグラス、車載AR HUD、光通信、光コンピューティング、3Dプリンティングなどをカバーしている。

資金調達面では、公開情報によると、芯視元はすでに複数回の資金調達ラウンドを完了しており、投資元には中興資本(ZTE Capital)、啟賦資本、華強資本、鼎興量子、元禾厚望などが名を連ねている。2026年5月には、芯視半導体(芯視元の親会社)が1.5億元(約34.5億円)規模のシリーズB+ラウンドを完了し、調達資金は主に研究開発投資と生産能力増強に充てられる予定だ。
(原文:https://www.icsmart.cn/105709/)

