

8月15日、ブルームバーグの報道によると、中国のチップ企業の天数智芯(Iluvatar CoreX)が、香港での新規株式公開(IPO)を検討しており、調達規模は3億ドルから4億ドル(約442億円~590億円)に達する見通しだという。同社は2015年12月設立の中国国内初のGPGPUチップ・高性能コンピューティングシステム企業で、クラウドサーバー向けハイエンド汎用並列計算チップの開発に注力しており、AIやクラウド、デジタルトランスフォーメーション市場における計算処理能力のボトルネック解消を目指す。
2018年にIluvatarCoreXはGPGPUチップの設計開発を本格的に開始した。2021年3月に中国国産初の汎用GPU「天垓100(TianGai100)」チップ及び「TianGai100アクセラレーターカード」を発表し、中国国内汎用GPUの「0」から「1」の開発を実現した。その後、製品発表から規模的応用への飛躍をわずか1年余りで達成し、同社初の汎用GPU製品の量産化に成功した。
発表によれば、「天垓100(TianGai100)」は業界最先端の7nm FinFETプロセスと2.5D CoWoSパッケージ技術を採用し、TSMC 65nmプロセスの自社開発インターポーザ(Interposer)を組み合わせる。また、これは240億個のトランジスタを集積し、32GBのHBM2メモリ(帯域幅1.2TB/s)を統合し、FP32、FP/BF16、INT32/16/8などのマルチ精度データ混合トレーニングをサポートし、システムインターフェースはPCIe 4.0 x16だ。

2022年4月2日、IluvatarCoreXは公式WeChatアカウントで、初の汎用GPU「TianGai100」及びアクセラレーターカードの発表以来、受注高が累計2億元(約40億円)に迫ったと発表した。その後、2022年通年のデータでは、「TianGai100」シリーズの受注高は累計5億元(約10億円)を突破したという。
さらに2022年9月の世界人工知能会議(WAIC)では、中国国産初の汎用計算アプリ開発・評価プラットフォーム「DeepSpark」と、7nmプロセスによるクラウド推論専用GPUチップ「智铠100(ZhiKai100)」を発表した。同チップは2022年5月に動作確認成功しており、同年末の正式量産開始が予定されていた。

IluvatarCoreXの関係者はWAICで「同社の顧客は100%がNVIDIAの顧客だ」と明かし、販売目標として「NVIDIA中国地域(香港含む)売上高の10%(約2,500億円)獲得」を掲げている。
業績面では、IluvatarCoreXの提携先*ST信通(STMicroelectronics)の開示データによると、IluvatarCoreXの2023年の売上高は3.07億元(約61.4億円)、2024年上半期は1.92億元(約38.4億円)を達しており、合計4.99億(約99.8億円)。また、純利益はそれぞれ-5.65億元(約-113億円)、-2.52億元(約-50億円)で、合計8.15億元(約163億円)の損失を計上した。
競合他社と比較すると、摩尔線程(Moore Thread)は2022-2024年の売上高がそれぞれ約4,608.83万元(約9億2,176万円)、1.24億元(約24.8億円)、4.38億元(約87.6億円)で、純利益:約-18.40億元(約-368億円)、-16.73億元(約-334.6億円)、-14.92億元(約-358.4億円)だという。沐曦(MataX)の売上高はそれぞれ約42.64万元(約853万円)、5,302.12万元(約10.6億円)、7.43億元(約148.6億円)で、純利益は約-7.77億元(約-155.4億円)、-8.71億元(約-174.2億円)、-14.09億元(約-281.8億円)となっている。
資金調達面では、IluvatarCoreXは数回の資金調達ラウンドを経ており、投資家には大钲資本(Centurium Capital)、Princeville Capital、上海電気香港(Shanghai Electric)、邦盛資本(BONDSHINE CAPITAL LIMITED)、沄柏資本(Cedarlake Capital)、粤民投資管、聯通資本、金融街資本(Finanacial Street Holding Co., Ltd.)、厚朴投資(Guangxi Houpu Investment Holding Group Co., Ltd.)、中関村科学城科技成長基金、上海国盛(Shanghai Guosheng Group Co.,Ltd)、熙誠致遠、新興資産、鼎祥資本、鼎礼資本、粤港澳産融、上海自由貿易区股権基金などが含まれている。特に、2021年のシリーズCラウンドでは、Centurium CapitalとCedarlake Capitalがリードして12億元(約24億円)を調達した。2022年の新規ラウンドでは、Finanacial StreetとHoupu Investmentがリードして10億元(約200億円)を調達した。
現在、中国国産GPUメーカーは上場を目指している。Moore ThreadとMetaXの上海証券取引所(SSE)STAR市場(科創板)へのIPO申請は既に受理され、それぞれ80億元(約1,600億円)、39億元(約780億円)の調達を計画している。その他の中国国産GPUメーカーの燧原科技(Enflame Technology)、壁仞科技(Biren Technology)、瀚博半导体(VastaiTech)もA株IPOの指導・登録を開始している。科創板に殺到する中国国産GPUメーカーが増えるにつれ、この上場ルートの競争はより激化している。一方、IluvatarCoreXが香港株式市場でのIPOを目指し、香港株市場における初の中国国産GPUメーカーとなる可能性がある。
企業価値評価の面では、『2024グローバル・ユニコーンランキング』によると、現在IPO指導を開始しているチップ・ユニコーン企業の中で、Moore Threadの評価額は255億元(約5,100億円)、Enflame Technologyは160億元(約3,200億円)、Biren Technologyは約155億元(約3,100億円)、MetaXは100億元(約2,000億円)となっている。IPO申請前の株式譲渡データによると、MetaXの評価額は約110.4億元(約2,208億円)となっている。IluvatarCoreXの評価額については、他社の評価額を参照すると、200億元(約4,000億円)以内だと推測されている。
(為替換算レート:1ドル=147円で計算)
(原文: https://www.icsmart.cn/95313/ )

