
DRAMモジュール供給が70%削減へ 供給途絶リスクに直面

AIブームが世界のメモリサプライチェーンの構造を根本から変えつつある中、独立系モジュールメーカーはかつてない「供給途絶」の危機に直面している。
最近、中国台湾のDRAMモジュール大手・宇瞻科技(Apacer)の張家騉(チョウ・カクン)CEOは、2026年上半期の投資家向け説明会で、2027年には世界の主要DRAMメーカーによる独立系モジュールメーカーへの供給量が2026年の供給量の30%にまで削減される可能性があり、それによりサプライチェーンがさらに逼迫する恐れがあると表示した。
張氏の予測は、世界のDRAM総生産量が70%急落することを意味するのではなく、サムスンやSKハイニックスなどのメーカーが川下のモジュールメーカー(Apacer社のようにウェハーを調達しDIMMなどの完成品に加工する企業)に割り当てるDRAMウェハーの割合を指す。
AIインフラ投資の急拡大に伴い、DRAMメーカーは高収益のHBM(高帯域幅メモリ)やサーバー向けメモリに生産能力を優先的に振り向けており、これらの製品は大手AI・クラウド企業が直接調達するケースが多く、その結果、モジュールメーカー向けのDRAMウェハーは急減している。
厳しい情勢に直面し、Apacerの戦略は「価格の高騰への懸念」から「全く入手できなくなることへの懸念」へと転換した。
供給不足に対応するため、Apacer社は6月末時点で在庫を124億新台湾ドル(約620億円)にまで大幅に増やしており、第1四半期末の83.8億新台湾ドル(約419億円)から四半期比で約48%急増した。同時に、Apacerはメーカーからの供給時にチップを「買い占める」ために、総額40億新台湾ドル(約200億円)、期間5年のシンジケートローンを手配している。
張氏は、2026年第3四半期のDRAM契約価格が約30%上昇し、NANDフラッシュメモリの上昇率は20%を超えると予想しており、第4四半期には価格上昇の勢いがやや鈍化すると予測している。この数値は、分析機関が予測する第3四半期のDRAM価格上昇率40%とほぼ一致している。
中国本土のメモリメーカーが供給逼迫を緩和できるかとの質問に対し、張氏は、長鑫存儲(CXMT)のDDR5製品はすでに競争力を備えており、長江存儲(YMTC)とともに国際メーカーとの価格差を縮めつつあると指摘した。ただし、中国国内需要はすでに自給能力を上回っており、生産能力拡大、製造歩留まり、プラットフォーム互換性などの要因が、世界の需給バランスを変える能力を制限していると述べた。
注目すべきは、AIブームがNANDフラッシュ需要も牽引している点だ。大容量のエンタープライズSSDはAIワークロードにおけるデータ一時保存に多用され、NANDフラッシュへの需要を押し上げている。
アナリストは、主要3メーカーがDRAM価格見通しの楽観性と逼迫構造について見解をほぼ共有しており、今回の不足の核心的要因は短期的な変動ではなく、AI演算投資に起因する構造的需要であると指摘した。
在庫を歴史的高水準に維持するリスクは明らかだ――市場が反転すれば多額の損失を被る可能性がある。しかしApacer社は、現時点で市場崩壊の兆候は見られず、2027年に高価格のチップを保有することは、販売できる在庫が皆無であるよりはるかに良いとの確信を示している。この判断は、AI時代のサプライチェーン再構築の中で、すべての独立系モジュールメーカーが共有する不安と無力さを反映している。
(為替換算レート:1新台湾ドル=5円で計算)
(原文:https://www.icsmart.cn/108245/)

