中国OSAT大手「長電科技(JCET )」、約1495億円の第三者割当増資を発表 先端パッケージングを強化

2026-09-04半導体業界動向半導体中国国産化

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9月3日夜、中国の半導体後工程大手である長電科技(JCET、600584.SH)は、2026年度の特定対象向けA株発行計画案を公表した。調達予定額は最大65億元(約1495億円)で、高性能コンピューティング向け先端パッケージング・プラットフォームの増産など4つのプロジェクトおよび運転資金の補填に充てる方針だ。



同計画によると、今回の発行対象は、同社の支配株主である磐石潤企を含む35名以下の特定投資家で、磐石潤企は今回の調達総額の22.53%を引き受ける予定だ。発行完了後も、同社の支配株主および実質的支配者に変更はなく、実質支配者は引き続き中国華潤(集団)有限公司(CRC)だ。



調達資金の使途は主に5分野に分かれる。一つ目は高性能コンピューティング向け先端パッケージング・プラットフォーム増産プロジェクトには15億元(約345億円)を投じ、総投資額は23.5億元(約540.5億円)となる。二つ目は高級電源モジュール向け先端パッケージング・テスト能力向上プロジェクトには10億元(約230億円)を投じ、総投資額は16.36億元(約376.28億円)だ。三つ目はウェハーレベルパッケージング先端プロセス・プラットフォーム高度化・増強プロジェクトには11億元(約億円)を投じ、総投資額は18.32億元(約420.9億円)。四つ目は高密度・大容量メモリチップのSiP(システムインパッケージ)・テスト能力向上ロジェクトには10億元(約230億円)を投じ、総投資額は18.51億元(約253億円)。また、19億元(約437億円)を運転資金の補填および銀行借入金の返済に充てる予定だ。4件の製造型プロジェクトの建設期間はいずれも20〜36カ月を予定している。今回の発行計画は、すでに同社第9期取締役会第5回臨時会議で可決されていた。



注目すべきなのは、これらのプロジェクトが単なる個別の技術更新ではなく、AI計算力バリューチェーン上の重要なボトルネックに的確に対応している点だ。



まず、高性能コンピューティング向けパッケージングは、AIチップ製造における「最終工程」を狙ったものだ。同プロジェクトは江蘇省江陰市で実施され、総投資額23.51億元(約540.73億円)を計画している。これは超高性能コンピューティングチップやサーバー・ネットワーク通信機器向けチップなど、高度先端パッケージングおよびテスト能力の拡充を目指す。ムーアの法則の鈍化を背景に、先端パッケージングはチップシステム性能を高める鍵となっている。



電源モジュール向けパッケージングは、AIデータセンターにおける消費電力急増という課題に照準を合わせる。同プロジェクトでは、電源チップおよび電源モジュールの主要メーカー、大手クラウドサービス事業者、データセンター運営会社に対し、FCLGAパッケージおよび関連モジュールを提供する。長電科技は、これによりAI計算力拡張の重要な成長局面を捉え、大手クラウド事業者との関係をさらに深められるとしている。



また、ウェハーレベルのパッケージングとメモリチップの封止・試験は、それぞれモバイル端末AIとメモリ需要の拡大に対応する。ウェハーレベルパッケージング事業では、新プロセス導入を軸に、産業機器、演算用途、自動車分野での新規顧客開拓を進める。メモリプロジェクトでは、マルチチップ積層技術を採用し、高密度・大容量のメモリソリューションを実現し、主に中国国内のメモリ顧客を重点的に開拓する方針だ。



公告の中で、長電科技は今回の資金調達案件が、中国国内生産能力の構築加速とサプライチェーン再編を目的とし、重要技術ノードにおいて、より強靭な中国国内半導体産業チェーンの形成を目指すものだと明言している。技術力・生産能力・顧客基盤という参入障壁を構築することで、同社は世界3位、中国本土1位の後工程大手としての地位をさらに固め、従来型の後工程受託企業から先端総合ソリューションプロバイダーへの転換を進める考えだ。



決算データによると、2026年上半期の長電科技の売上高は195.27億元(約4491.21億円)で前年同期比4.96%増となり、過去最高を更新した。親会社株主に帰属する純利益は8.45億元(約194.35億円)で同79.41%増、非経常損益を除いた親会社株主帰属純利益は8.08億元(約185.84億円)で同84.73%増だった。うち第2四半期の純利益は約5.54億元(約127.42億円)で、前四半期比約90%増となった。収益性も大幅に向上し、上半期の粗利益率は15.15%と、前年同期比で1.68ポイント上昇した。



長電科技は、業績拡大の主因について、AI関連インフラとエッジ端末分野の需要が急速に拡大し、顧客からの受注が継続的に増加、生産設備稼働率も高水準で推移したためとしている。



なお、長電科技の増産は個別事例ではない。今年に入ってから、中国の通富微電(TFME)、華天科技(HT-tech)、甬矽電子(Forehope)、盛合晶微(SJ Semi)、深科技(Kaifa )などの後工程企業も相次いで増産計画を打ち出している。不完全データの統計によると、現時点で2026年の中国国内半導体後工程企業による増産投資総額は500億元(約1.15兆円)近くに達している。AIコンピューティングパワーを巡るこの競争の中で、OSAT工程は「脇役」から「主役」へと移行しつつある。








(為替換算レート:1人民元=23円で計算)

(原文:https://www.icsmart.cn/141603/)

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